
パンドラの箱にはならぬちぎりあり錦もうれしかたみの空に
懐かしい場所に佇んだ
記憶のそこからなだれ込む
辛かったり
苦しかったり
哀しかったり
或いはもっと複雑に憤りや
そういう思い出が在る場所に
ふたたび
自分の足で向かうには
某かの
大きな運命の力のようなものが
必要だったりする
そこに立てば
色んな思いが溢れてきて
収集がつかなくなってしまったり
これまで頑張ってきた自分の時間が
一瞬にして違う色に染まってしまうような
そんな気持ちになることがある
例えば
青春時代を過ごした母校
のような場所に行くと
景色がどんなに変化していようとも
すーっと違和感なく
その当時の自分というのが
沸き上がってきて
痛いようなかゆいような
泣きたいような笑いたいような
そんな気分になる
自分がどんなに否定しても
否定しきれない縁
というものはあって
人は
そこに「呼ばれていく」
もう二度と
開けることはない
と思っていたその蓋を
あけてみれば
形見のような空が
その自分を見下ろしていて
私はやっぱり
小さなその縁を
大事にしたいと思う
4月11日撮影
文は再掲です