「マニアックな本を読んでるなぁ」と
とうちゃんが言った

どこがマニアックなのか
吉村昭はそれほど読んでいないから
私にはわからない

『死顔』
没後3年の遺作短編集
死顔に対する吉村昭の考えに
同感である

身近なところで父
急の知らせに母を伴い
病院へ駆けつけたところ
見舞い客が居た

いまにも事切れそうなのに
病室を立ち退くことなく
最後まで居た

静かに身内だけで
見送ってあげたかったのに

そのずーずーしさに
孫である姪っ子は憤慨
普通は遠慮すべきだろうと
じいちゃんも嫌だったであろうと

遠慮してくださいとは
さすがに言えなかったが
悔やまれる

招かざる見舞客は
今際の際に接したことを
自慢げに話している

そのデリカシーの無さに
閉口した
最後の最期まで
味噌を付けてくれるお人だ



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